酢が健康に良い、ということで飲む酢がブームになっています。その影響でしょうか、生産量が年々伸びています。減少続けている味噌とは対照的です。

その酢のことで、気になることが私のレストランでありました。有機野菜サラダにドレッシングをかけたお客さんが、「腐っている」とのクレーム。驚いて私が食べてみたところ、美味しい。そのお客さん、「ドレッシングが匂いも味も腐っている」と。ドレッシングを味わうと、美味しい。香りも豊かで食欲がわく匂い。???

味覚が分からなくなっている方が増えている、という話しはよく聞きます。亜鉛不足の食事を続けていくと、甘さが苦味に感じることがあるとも。しかし、今回の酢のケースは「食酢」の現状にも原因があるのではないかと考えています。

キッチンポランでは、2年前に札幌市の円山にある「中山酢醸造有限会社」と組んで、北海道の有機栽培米を100%使った純米酢を製造しています。完成まであと1年。実に3年間の長い期間をかけての酢作り。地産地消の取り組みです。

酢は、塩の次に古い調味料といわれており、お酒作りの過程で腐ってしまった偶然からできたものと考えられています。歴史的には、紀元前5000年頃のバビロニアの記録が最古とされ、日本には、400年頃に中国から伝来してきたとされています。

クレオパトラが真珠を酢に溶かして飲んでいた?ともいわれていますが、疲労回復効果や食欲増進、血圧やコレステロール値を下げる効果も確かめられています。

今日では、「食酢」というとJAS規格及び品質表示基準によって、「醸造酢と合成酢」を指します。合成酢は、エチレンを原料にした酢酸を用いたもので食用になっていることが不思議です。醸造酢は、昔ながらの酢の製造方法としての「静置発酵や壷造り」と機械的な「速醸法」。大部分の酢は、24〜48時間内に発酵を終了する効率的な速醸法で作られています。

表示では同じ醸造酢ですが、静置発酵や壷造りは熟成という過程を大事にします。その永い熟成期間にアミノ酸、有機酸が多く作られて、独特のコクのある味と香りを生みます。

さらに、添加物を使わずコメだけで造ろうとしたら、1リットルの酢に最低120gのコメが必要ですが、今のJAS規格では40gでOKです。これだけ違いがあるのにも係らず、発酵方法の表示義務はありません。
(2006年12月14日)