|
4月8日は、国際反GMO(遺伝子組み換え生物)デーでした。世界各国の市民団体や研究者が集会を開き、世界各地と連絡を取り合って連帯を確認いたしました。日本では、東京の品川の国民生活センターで多数の人が参加して集会が開かれました。

現在、新潟県上越市の「北陸研究センター」で行なわれている遺伝子組み換えイネの、屋外試験栽培の中止を求めた裁判が開かれています。原告には、地元農家の人をはじめ、歌手の加藤登紀子さんや漫画家のちばてつやさん、俳優の中村敦夫さんなども加わっています。

ここで実験している遺伝子組み換えイネは、カラシナの遺伝子をイネに組み込み、ディフェンシンという殺菌作用を持つタンパク質を作り出し、いもち病などのイネの病原菌を殺菌しようというものです。このディフェンシンというタンパク質が、イネに対して安全なのかについてはいろいろな意見があります。しかし、栽培を繰り返すことで生ずる新たな不安な事態が指摘されています。

この抗菌タンパク質を作り続けることで、それに耐えてしまう新たな菌=耐性菌の出現がその懸念される事態です。ディフェンシンは、植物だけでなく、広く昆虫や動物、ヒトが病原菌から身を守るために作り出している抗菌タンパク質の一種です。ですから、その耐性菌が出現したら、非常に危険な状況になる可能性があります。

実験を強く危惧し、危険性を指摘している東京大学海洋研究所教授の木暮一啓さんによれば、耐性菌を作り出す日和見感染菌は、陸や川、海どこにでもいてイネの根にもいるとのこと。ディフェンシンを組み込んだイネからそれに耐性の感染菌が出現する可能性は、実験からも極めて高いと指摘しています。

今、実験している田んぼにいなくても、耐性菌が出現する可能性があることを否定できない以上、想定すべきだとも。木暮さんは、「科学者の一人としては、問題に気がついた以上、最悪のシナリオを含めて素直に語るのが社会と人類に対する責務と考える。個人的な感情で言うと、私の小学校の娘は絶対に実験区域周辺に連れて行きたくはない、実験区域は徹底的に滅菌しつくしたい」とも述べています。

この警鐘は、O−157、BSE、鳥インフルエンザなどで私たちが、痛切な体験をしてきたことから生じています。自然界にごく当たり前に共存していた鳥インフルエンザのウィルス、その無害のウィルスが、ヒトが作った劣悪な環境で飼育をして、感染を繰り返すうちに変異して凶暴化した特別なウィルスだということを忘れてはなりません。

(2006年4月20日)
|