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9日の毎日新聞に「国産農産物買いたい70%」との記事が載っていました。これは、農水省が昨年11月に実施した「国産の強みを活かした農業生産の展開等に関する意識・意向調査」結果で明らかになったものです。
アンケートは、農業者と消費者それぞれを対象にして実施しています。そのアンケート結果によれば、「できるだけ国産農産物を購入しようと意識している」と回答した消費者は、農産物全般で70.7%、「どちらかというと国産農産物を購入しようと意識している」の26.1%を合わせると96.8%にもなります。

ほとんどの人が、意識のなかでは国産の農産物を求めているということですが、供給する食の自給率はわずか40%。新聞によれば、農水省はそのことについて「『消費者のニーズに応じて売れるものを作っていかなければならない』と、生産、流通関係者の努力を求めている」と報じています。

1961年の農業基本法制定以来45年間、日本の農家を減らし続けてきた国の農業政策の破綻が、今日の自給率になっているということについて、なんの反省も感じられないこの発言。怒りすら覚えます。
そのことは別の機会に述べますが、食文化が崩壊して「旬」などの大切さを意識できないでいる今日、安易に消費者ニーズという言葉を使うことに不安があります。アンケートのなかで、食生活の変化を10年前と比較する質問があります。10年前と比べて、食生活は変化したと思うかについて、83.2%の消費者が変わったと思うと回答しています。その理由については、76.5%の人が「健康のために、食事の量や質に注意するようになったから」と答えています。

良い傾向です。特に農産物の質について興味深いデーターがあります。天使大学の荒川義人教授によれば、「ここ数十年で農産物自体に憂慮される状況がみられる。農産物に期待したい栄養価が必ずしもその期待に応えていない」と述べています。これは、「地産地消」をテーマにした「北海道有機農業研究協議会」主催の講演会での収録ですが、ほうれん草を挙げています。

「食品標準成分表」は、20年に1回改訂されていますが、1963年ではビタミンCの含量は100mgであるのに、2000年では35mg。特に夏のほうれん草のビタミンCは、わずか20mg。旬の冬時期では60mg。

このような背景として荒川教授は、「大量・遠隔流通」と「農法の変化」を指摘しています。効率よく大量に育てることによって、外観的に成長しても中身が伴わない。時間をかけて遠くから運ぶ過程で栄養成分が減少する。さらに、農法でみていくと有機栽培のものと非有機のものとでは、有機のほうれん草に含まれる糖分が高く、ビタミンCも高い数値を示しています。有機でないほうれん草は、逆に水分が多く含まれています。また、貯蔵中のビタミンCの変化については、有機のものは1週間置いてもわずかな減少であるのに対し、そうでないほうれん草は20%も減少していると指摘されています。

国民のほとんどが「健康のため」「国産の農産物の質」に期待しているのであれば、中身のある農業政策が必要です。(2006年3月16日)
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