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3月3日の道新の生活欄に掲載された、酪農学園大助教授のコラム「乳をめぐる話(15)」のなかで、低温殺菌牛乳と超高温殺菌牛乳を比較して、「どちらも栄養分に変わりがない」と結論つけていました。そして、低温殺菌の方が優れていると考えられがちな理由として、「『食品は生の方が身体に良い』とする日本人の特有の心理がかかわっているのではないか」と述べておられました。
日豪EPA交渉が始まる状況のなか、北海道の農業は消費者の支持を獲得しなければならない大切な時期でもあります。そして、北海道の農産物の品質や評価を高めていくことは、消費者の支持を得られる大きな要因になります。しかし、その主体にならなければいけない指導者の認識が、低温殺菌牛乳に対して、かくも低いのかと愕然としました。
北海道の農産物の優れていることは、わが国の各地で開かれている「北海道物産展」で常にトップの人気と売上をあげていることからも証明されています。また、「よつ葉会」のような本州の共同購入の市民団体でも、北海道の乳製品を高く評価しています。とりわけ、牛乳のノンホモ低温殺菌牛乳にこだわっています。
何故、ノンホモ低温殺菌牛乳なのでしょうか。乳文化が進んでいるヨーロッパでは、飲料用の牛乳は大腸菌を殺菌し、酵素や乳酸菌を残す低温殺菌が一般的です。よつ葉乳業のデーターによれば、殺菌温度の上昇によって牛乳の「ホエータンパク質」は、かなり熱変性してしまうことが分かります。ノンホモで72℃15秒間殺菌ですと、熱変性率は3〜5%程度。ホモで120℃2秒間ですと、熱変性率は80〜85%と驚くべき数字。
ホエータンパク質が熱変性してしまうと、酵素と反応できないためプリン状にならず、液体のまま腸へ入っていきます。プリン状になっていることで、徐々に消化され、タンパク質やカルシウムなどの栄養価が吸収されます。ということは、超殺菌牛乳ですとせっかくの栄養が吸収されにくくなってしまう、ということです。
また、風味を比べると、低温殺菌牛乳はサラッとしたさわやかな味覚ですが、超高温殺菌牛乳は加熱臭でベタッとした感触が残ります。
さらに、乳酸菌が残っているということは、開封した後でも牛乳が保護されていることになります。納豆菌や乳酸菌などの発酵菌の偉大な能力です。
助教授は、「日ごろ、われわれが食べている料理は、超高温殺菌以上の温度と時間をかけて調理されている」とも述べていますが、調理に高温と時間を必要とする食品は、レトルト加工食品です。私のレストランでは、素材の味を生かすため、牛肉の調理温度は58℃が最も適しているとか、野菜を高温で調理する際は極短時間というように、料理によって使い分けています。自然の恵みに対して、科学者の方こそ謙虚になっていただきたいと願っています。
(2007年3月5日)
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